夢を叶えたら幸せになれる、と思っていた

最近いろいろなことがあり、このところ直近で向き合っていたプライベートの目標を一つあきらめなければならなくなってしまいました。

ただし、あきらめるといっても永久的なものではなく、いますぐには難しいと判断して、一旦脇に置くことになったというだけです。時機が来たら、再びそれを目指して進んでいくことになるでしょう。

なのにわたしは、「いまこれが達成できないなら、わたしはなんのために生きているんだろう」とまで思うようになってしまいました。それで9月はすごく落ち込んでいました。

でも、いろいろと考えていてわかったんです。どうして自分がそこまでその目標に執着してしまっていたのかが。理由がわかってからは冷静な気持ちと客観的な視点を取り戻すことができ、いまはだいぶ元気になりました。

理由はすごくシンプルでした。

それは、自分は仕事での夢や目標を、とりあえずひととおり叶えてしまった、と感じたから。

会社に入って、仕事で認められたい。
独立して、腕一本で食べていきたい。
いまよりいい暮らしをしたい。
20代のうちにこれくらいの年収を超えたい。
本を出したい。
自分のブランドを立ち上げたい。
会社をつくりたい。
「自分だからこその価値を発揮している」と思えるような仕事をしたい。

そういう夢や目標が、本当にありがたいことに、だいたい叶ってしまった。

もちろんこれだけで満足しているわけではなくて、まだまだ目指したいものはたくさんあります。上には上がいる（いすぎる）こともよくわかっている。

だけど、「とりあえず20代くらいのうちにこんなことができたらいいな」と思っていたことに限っていうと、一旦及第点がとれてしまった、というのがいまのわたしの感覚でした。

仕事をガツガツやりたいと思っていた人間が、仕事での目標をあらかた達成するとどうなるのか。

わたしの場合は、「仕事のほうはとりあえず満足できたから、次はこっちの目標を叶えたい」とプライベートに目が向いてしまいました。

それ自体はしごく自然なことで、間違っているものでもないと思っています。でも、プライベートのほうは機が熟さないと難しいものだったり、自分ひとりの努力でどうにかなるものではなかったりして、結果的にはいまいちばんがんばるべき目標ではありませんでした。

「夢は見るものじゃない、叶えるものだ」なんていいますが、夢を見ている間は幸せです。取らぬ狸の皮算用をして、楽しい妄想をしていればいいのだから。

夢を叶えようと努力している間も、苦しいけれど幸せです。夢の実現にどんどん近づいていっていると思えるから。

では、夢を叶えたあとはどうでしょうか。

わたしは、夢を叶えたら幸せになれる、と思っていました。だけど、必ずしもそうではないんだなって。叶えるところまでは幸せだけど、そのあとどうするかで幸せ度は変わってしまいます。

ひとによっては、夢が叶えば万々歳、それだけで幸せになれるということはもちろん充分にあると思います。わたし自身、これまではそうだったように思います。

でも、いまのわたしのように、常になにか目指すべきものを掲げて突進していないと満足できない人間の場合は、ある夢が叶ったらまた次の夢を見つけなければいけないのかもしれません。

たしかにわたしは昔から、いつもハングリーな状態でいるほうが心地よく感じるタイプだったと思います。まだなにも手にしていない自分、あんなこともこんなこともしたい、あんなものもこんなものも手に入れたい。手に入れられる、と思う。自分の力で。努力さえすれば。そんなふうに思って、自分を励ましつづけてきました。

だから、一つひとつ手に入れていく過程はとっても楽しかった。本当に小さなことですが、たとえばユニットバスの部屋から、バス・トイレ別の部屋に引っ越せたこと。ランチメニューを頼むとき、飲みものまで注文できるようになったこと。200〜300円くらいの安いハンドクリームではなく、1,500円くらいのロクシタンのハンドクリームを使えるようになったこと。そういうちょっとずつの進歩が、本当にうれしかったんです。